
インドが起源の、木綿地に多色で文様を染めた布製品、更紗。日本原産の和更紗とインド更紗の違いを比較してみました。
更紗とは
更紗(サラサ)とは、インドが起源の、木綿地に多色で文様を染めた布製品です。
英語ではchintzと呼ばれます。大航海時代にインドから各地へ広がりました。
更紗に描かれている模様のモチーフは、鳥獣・人物・草花・幾何学模様など、実に多種多様なものが存在しています。
色鮮やかで異国情緒あふれる文様は、古くから人々に愛されてきました。
和更紗の特徴
和更紗とは、日本原産の更紗を総称して呼びます。
日本では、江戸時代には「さらさ」に佐羅紗、皿紗、佐羅佐、紗羅染(しゃむろぞめ)などという
漢字が当てはめられていましたが、その語源を辿ると、ポルトガル語で木綿を意味する「saraca」、
インドで更紗を積んで出港していた地名「surat(スラト)」、
インドの言葉で”極上の布”を意味する「sarasso,sarasses(サラッソ)」など、いくつもの説があります。
和更紗は、異国情緒あふれる文様を取り入れつつ、
日本独自の素朴かつ美しい模様を織り交ぜた、新たな更紗文様が生み出されました。
和更紗に代表される物として、京更紗、江戸更紗、鍋島更紗、天草更紗などが挙げられます。
京更紗
京更紗は、染め物の中心地であった京都で作られた更紗です。曲線が伸びやかで鋭い文様が多く描かれています。また、墨線を多く使用しているため、輪郭線がシャープに描かれているのが特徴です。
江戸更紗
江戸更紗は、江戸時代の中期になると江戸でも作られ始めた更紗です。複数の型と色を用いるところが特徴で、比較的簡素な柄でも20〜30枚の型、30色以上も使うこともある繊細な色の重なりが魅力的です。文様には草花、鳥獣、人物が描かれることが多く、異国感ある風合いに日本らしい美意識が加わっています。
鍋島更紗
鍋島更紗は、佐賀県唐津市にある鍋島藩で作られた更紗です。鍋島藩では陶器や漆器などの工芸品も盛んに作られており、その影響を受けたと考えられる美しい模様が特徴です。色彩は落ち着いており、赤や黒などの暗色系が多く使われています。
天草更紗
天草更紗は、熊本県天草市で作られた更紗です。天草はキリシタンの地としても知られており、その影響で十字架や聖書などのキリスト教関連の文様が描かれたものもあります。色彩は淡く優しく、青やピンクなどの明るい色が多く使われています。
インド更紗の特徴
インド更紗は、色彩豊かに染色した異国情緒あふれる木綿布のことです。
特徴的なのはその鮮やかな赤色で、インドの特産である茜の根を用いた染液は、色鮮やかで深みのある赤色を作り出しました。
インド更紗は、その力強い文様や生命力の象徴とされる色鮮やかな赤色から、
長寿祈願や家族繁栄を願うために古くから愛されてきました。
インド更紗に描かれる模様は、絵画的に描かれたものが多く存在するようです。
一枚の布の中に物語性を感じさせる更紗も多数あります。
竹に糸を巻き、ペンのように用いて図柄を施す技法を「カラムカリ」といいますが、
初期のインド更紗は手描きで描かれたものも多くありました。
和更紗とインド更紗の違い
和更紗とインド更紗は、共に木綿地に多色で文様を染めた布製品ですが、その違いは何でしょうか。
原産地
まず、最も大きな違いはその産地です。インド更紗はインドで生まれたものであり、和更紗は日本で生まれたものです。
インドから日本に渡ってきたインド更紗を「古渡り更紗」と呼びますが、これは和更紗ではありません。
染め方・模様
次に、染め方や模様にも違いがあります。インド更紗は茜の根を用いた赤色が特徴的で、
絵画的に描かれた模様が多く見られます。
一方、和更紗は日本の伝統的な染め技法を用いて、色の重ね合わせや墨線などで繊細な模様を描きました。
また、和更紗には日本の風土や文化に合わせた模様が多く見られます。
色彩
最後に、色彩にも違いがあります。インド更紗は鮮やかで力強い色合いが多く、赤や黄色などの暖色系が目立ちます。
一方、和更紗は落ち着いた色合いが多く、青やピンクなどの寒色系や淡色系が目立ちます。
まとめ
和更紗とインド更紗の違いを比較しました。
和更紗とインド更紗は、共に美しい文様を持つ木綿布ですが、その産地や歴史、染め方や模様、色彩にはそれぞれの特徴があります。
どちらも魅力的な布製品なので、ぜひお気に入りの一品を見つけてみてくださいね。