ワッデン海は、北海に広がる世界最大級の干潟地帯で、オランダ、ドイツ、デンマークの三か国にまたがっています。
この地域は、干満の影響を受ける砂や泥の広大な平野や、
その間に入り込む潮流によって形成された溝や島々など、多彩な地形を持ちます。
また、様々な生物が暮らす自然豊かな場所でもあります。
特に、水鳥の種類と数は世界的にも類を見ないほどで、
毎年約1,000万羽もの水鳥が渡りの途中にこの地域を利用します。
そのため、ワッデン海は「水鳥の楽園」とも呼ばれており、2009年にはユネスコの世界遺産に登録されました。
この記事では、ワッデン海で見られる貴重な鳥類の一部をご紹介します。
ハクチョウ
ハクチョウは、白い羽と長い首が印象的な大きな水鳥です。
草や水草などを食べる草食性で、ペアで一生を共にすることで知られています。
ハクチョウは寒い冬になると北方から南方へと渡りますが、その際にワッデン海で越冬する個体も多くいます。
ワッデン海では約20万羽のハクチョウが集まり、その姿は圧巻です。
カモメ
カモメは、海岸や港町などでよく見かける水鳥です。
白や灰色の羽と黄色や赤色のくちばしを持ち、空中を自在に飛び回ります。
カモメは雑食性で、魚や貝類だけでなく人間の食べ物も食べます。
カモメは賢くて社会性が強く、大きな群れを作って暮らします。ワッデン海では約30種類のカモメが見られます。
キアシシギ
キアシシギは、細長いくちばしと足を持つ小さな水鳥です。
キアシシギは干潟や湿地などに住み、泥や砂に隠れた小動物を探して食べます。
キアシシギは渡り鳥であり、夏には北極圏で繁殖し、冬にはアフリカや南アメリカに渡ります。
キアシシギは群れで移動し、数千羽から数万羽の大群を作ります。
ワッデン海では約50万羽のキアシシギが渡りの途中に立ち寄ります。
フラミンゴ
フラミンゴは、ピンク色の羽毛と曲がったくちばしを持つ美しい水鳥です。
フラミンゴは塩分濃度が高い湖や沼などに住み、エビやプランクトンなどを食べます。
フラミンゴは社会性が強く、数百羽から数千羽の大規模なコロニーを作って暮らします。
フラミンゴは熱帯や亜熱帯の地域に分布していますが、
近年では気候変動や人間の影響などで分布域が広がっています。
実は、フラミンゴはワッデン海でも見られるようになりました。
2011年から2012年にかけて約30羽のフラミンゴがドイツ側の干潟で越冬しました。
これは珍しいことであり、フラミンゴが新たな生息地を探している可能性があります。
まとめ
以上、ワッデン海で見られる貴重な鳥類について紹介しました。
ワッデン海は水鳥の楽園として世界遺産に登録されており、多くの人々に愛されています。